東北地区より

3.11の東日本大震災から、半年が経ちました。

震災当時、東北とはいえ日本海側に位置するここ酒田は被害が少なく、棚の中で資料が倒れる程度でした。
その後の繰り返し起こる余震の被害の方がひどく、棚の上の方からブックエンドごと雑誌が落ちてきたことがあったため、
「危険!」の掲示をあちこちに貼りました。

「危険!」の掲示(日本海総合病院図書室)
展望台からみた酒田市宮海の風車


被害の大きさが分かるにつれ、東北の港町に暮らす住民にとってはとても人事には思えません。
日頃お世話になっている隣県の図書館のためにと、被災・救援情報サイトsaveMLAKの専門技能ボランティアに登録をしたところ、東北学院大学中央図書館の蔵書復旧作業ボランティアに参加することができました。

東北学院大学中央図書館では、蔵書65万冊のうち30万冊が落下、内壁の落下・書架の倒れ・歪み・耐震補強バーの損壊など、よく怪我人が出なかったと思う程大きな被害だったそうです。余震の続く中すでに3月末から3カ月にも渡る復旧作業が続いていました。

今回の派遣は、①資料を一旦棚に戻し配架計画を立ててから、②別階へ移動、通路に平積みにし、書架の修復・補強工事後、③棚へ再度戻すという長い3期の工程の最終段階の作業に当たります。


修復された閉架書庫(東北学院大学中央図書館
別階へ移動した資料(東北学院大学中央図書館)


6月27〜7月1日の日程で、メンバーが入れ替わりながら1日当たり4〜6名となるよう全国各地から14名が参加しました。
作業手順の設定や分かりやすい掲示、安全・体調への配慮など、現地スタッフの皆さまの緻密で温かい準備と心遣いのおかげで、申し訳ないくらい快適な作業環境でした。


ボランティア作業中(松田)


ボランティアに行くことを希望している方は、きっとたくさんいらっしゃると思いますが、受け入れる側の苦労を考えると、ボランティア募集が少ない訳が分かる気がします。被災地の負担をいかに少なくして派遣できるかが今後の課題です。
自己責任での移動・宿泊・食事・ボランティア保険はもちろんのこと、薄手の滑り止め付軍手・マスク・タオルの準備、メモや付箋を用意して注意事項をすぐ確認できるようにするなど、ボランティアに行く側にも準備と工夫が必要です。


2日間の自分担当の作業終了後、お世話になった現地スタッフの方に、「酒田でもし地震があったら、きっと手伝いに行きますね。」と言っていただいたことが忘れられません。
地震の活動期に入ったといわれる今の日本で、いつ大地震に襲われるかもしれません。
万一の災害の時、被災地に負担をかけることなく経験を活かしたボランティア活動ができるようなシステムの必要性を強く感じました。

被災地の会員の皆さまには、公私ともに復興に向けて日々お忙しいことと思います。
お身体に気をつけて無理をせず、支援が必要な時はぜひ声を挙げていただけたらと希望しています。
(まつた)