電子ジャーナルに物申す?

当院では、洋雑誌を冊子体から電子ジャーナルに切り替え始めて3年目になります。
既にほぼすべての洋雑誌が電子ジャーナルになりました。
固定IPアドレスの取得なんて夢のまた夢かもと思っていたのは数年前。
いまでは、固定IPアドレスの取得だけでなく、スタッフが院内どこでも
無線LANに接続したノートパソコンやタブレット端末で、
医中誌Webや電子ジャーナルにアクセスできるようになっています。
たった数年での大きな変化です。
郵送のトラブルや、発行からのタイムラグはなくなりましたが、
リンクの管理やアクセス障害などの対応業務が増えました。


利用者の行動も変化しました。
以前は「インターネットは図書室で」と、来室する利用者に
利用者用パソコンの前に一緒に座って説明することが多かったのですが、
最近では「○○にアクセスする方法は?」「このタイトルは電子ジャーナルで見られるか」
といった内線での質問が増えています。
タブレットを片手に「何がどこまで使えるのか全部教えてください」と来室する利用者もいます。


洋雑誌を電子化するにあたり、当院では(予算の都合により)
冊子体の購読をやめざるを得なかったタイトルがあります。
これは、ブラウジングを習慣にしている医師にとって、
とてもアンハッピーなことと感じます。
パラパラと気になる記事を拾い読みし、記憶の中にストックするという作業には、
現在の電子ジャーナルのプラットフォームでは冊子体に代わるものにはなり得ません。
文献検索から本文印刷までがパソコンの前に居ながらにしてできることは
とても便利ですが、「文献検索」と「ブラウジング」は全く目的の違うものです。
今後も電子化の流れは、変えられないでしょう。
ですが、提供元の出版社のかたには、読者の情報収集集行動についてよく知り、
ぜひ考えて頂きたいと思っています。


電子化する際に「できれば冊子が欲しい」という希望のあったタイトルは、
目次を印刷・ファイルして新着書架に並べています。
目次も、本誌の目次ページがきちんとPDFで提供されるタイトルもあれば、
目次機能がまったくないため、webページから直接印刷するものもあります。
利用者は活字や体裁、段組など「見た目」で雑誌を覚えていることも多いため、
本誌と同じ目次をすべての雑誌で提供してほしいです。


利用者には、使い慣れない電子ジャーナルへの気持ちのハードルを少しでも下げたい。
司書として、利用者の意見や希望を出版社に伝えていくことも
大切な役割と最近特に感じます。
規模の小さい病院ならではの使い方、使われ方を出版社に伝えていくのは、
私たちしかいません。




目次のファイルには表紙画像を貼っています


(今回は匿名で)