初めての発表

7月23日、私は滋賀県大津へ向かうべく新幹線に乗っていました。
車内で朝から缶ビールを飲むよろこびにほくほくしながら。
毎年開催される、医学情報サービス研究大会(MIS)。
2011年の開催地は大津と聞いたとき、関東在住の私は「遠いなあ。行かないかもしれないな〜」と思いました。
生来なまけもので出不精の私にとって、関西はまったく未知の世界だったのです。
しかし。


私はグループで研究をしています。
メンバーは複数の病院の図書室担当者で、それらの病院を運営している母体は同じ団体です。
日本各地で医療機関福祉施設を開設しており、私たちの目的は、その学術活動業績をまとめることです。
調査は続行中ですが、PRを兼ねてMISで発表することにしました。発表者は今回、私が務めることになりました。
そんなわけで、初めて大津へ足を踏み入れることになったのです。
1年前にはこの研究グループもなかったですし、その土台となった図書室ネットワークもよちよち歩きでしたし、
世の中、何がどうなるかわかりませんね。


6月、順天堂大学でおこなわれた日本医史学会の学術大会を、メンバーと聴講してきました。
学会に参加するのは初めてでした。詳細は割愛しますが、たいへん新鮮でおもしろい経験でした。
なるほど、学会発表というのは未完成でもいいんだな、多くの人に聴いてもらい、指摘を受け、
それを持ち帰って研究に生かすことが大切なんだな、というのを肌で感じ、気持ちが楽になりました。
学会抄録(会議録)は速報性に優れていますが内容をすべて鵜呑みにしてはいけないな、ということも実感。
これは自分の職場の若手スタッフにも伝えねば!


7月の3連休のうち2日間で、メンバーが集まり、わいわいと意見交換しつつPowerPointのスライドと発表原稿を作りました。
メンバーのうち私も含めた数名は、放送大学に籍を置いていますので、千葉県幕張にある大学の図書館内の部屋をお借りしました。
図書館は大きく立派で、学ぶ環境が整っているって実にすばらしい!と感動です。
疑問点を資料で調べることもできました。大学の宿泊施設も借りました。合宿です。といっても個室です。
低料金でありながらビジネスホテルのような設備。

ああ学生ってなんて素敵なんでしょう(日本医史学会へも学生料金で参加したのでした)。


服は何を着ればいいのか悩んでみたり、舌を噛みそうな固有名詞が多く登場するのでボイストレーニングのサイトを見てみたり、当日までばたばたしながら、いざ大津へ。


病院図書室の仕事を始めてから、複数の人に向かって話す機会がぐんと増えましたが、大勢の前に立つ機会といったら毎年1回、自分の職場での新入職員オリエンテーションくらいです。
それがいきなり100人以上の聴衆の前で話すことに。懇意にしてくださっているかたがたによる、からかいや励ましまじりのプレッシャーには本当に愛を感じました…。いえ、けっして皮肉ではなく!
発表では、時間に余裕を持たせてゆっくり話すようにして、なるべく原稿を朗読しないよう心がけました。
いろいろなかたが声をかけてくださり、気にかけてくださり、非常にありがたいことでした。
貴重な経験がひとつ増えました。帰りの新幹線での缶ビールがまたおいしかったことは言うまでもありません。
何歳になっても新しいチャレンジができるってすばらしいですね。
人前で話すことは、経験を重ねてできるようになっていくものだ、とよくわかりました。

「人前で話すなんてできない」というかたにお会いすることもありますが、思いきって何度もトライしてみることをおすすめしたいです!
(たこ)